「滋賀に来たからには、琵琶湖をぐるっと一周(ビワイチ)してみたい!」
そう思い立ってチャレンジを考えるビギナーの方はとても多いです。四季折々の湖畔の景色や美味しいご当地グルメに出会えるビワイチは、人生で一度は体験してほしい素晴らしいアクティビティです。
しかし、普段あまりスポーツバイクに乗っていない方が、いきなり1日で北湖一周(約150km)やフルビワイチ(約200km)を走り切ろうとするのは、かなりハードルが高くリスクも伴います。

【読者のみなさまへ】
※この記事は、スポーツバイクの経験が浅い初心者や未経験の方向けの内容です。すでにロングライドに慣れている中級者以上の方は当てはまりませんので、ご自身の経験や「ロードバイクの距離感」を大切にしてライドを楽しんでくださいね。

今回は、琵琶湖を日々走る地元サイクリストの視点から、初心者が知っておくべき「距離の壁」と、怪我なく笑顔で完走するためのステップアップ術をお伝えします。

最初の関門「50kmの壁」:まずは南湖一周から

スポーツバイクはママチャリ(一般車)と違って車体が軽く、ペダルを踏めば驚くほどスイスイ進みます。そのため、最初の20km〜30kmは「自分でも意外と走れる!」と楽しく感じるはずです。
しかし、50km(時間にしておよそ3〜4時間)を超えてくると、日常生活では使わない筋肉や前傾姿勢に身体が悲鳴を上げ始めます。
ペダリングに慣れていないうちは、つい太ももの前側の筋肉だけで力任せに漕いでしまいがちです。これが膝や腰の痛みの原因になります。
まずは、近江大橋や琵琶湖大橋を渡って湖の南側を巡る「南湖一周(約50km)」を目標にしてみてください。「翌日に疲れを残さず、笑顔で走り切れること」が、すべてのロングライドの土台になります。

戦略が必要な「100kmの壁」:休憩と補給をマネジメントする

50kmを無理なく走れるようになったら、次は彦根や長浜方面を目指して往復する「100km」が次のステップです。この距離になると、気合や根性だけでは走り切れません。
走行時間が6〜8時間に及ぶ100kmライドでは、体内のエネルギーが途中で底をつく「ハンガーノック(極度の低血糖状態)」を防ぐマネジメントが不可欠です。

  • 疲れる前に休む: 1時間に1回は必ず自転車を降りて、脚や腰をしっかりストレッチしましょう。
  • お腹が空く前に食べる: 喉が渇いたり空腹を感じたりした時点ですでにエネルギー不足が始まっています。おにぎりや和菓子、補給食などを小まめに口にしながら走るのがコツです。

なぜ初心者の「1DAYビワイチ」はリスクが高いのか?

100kmを安定して走れるようになって初めて、その先の長距離が見えてきます。スポーツバイクに慣れていない方が、いきなり1日で琵琶湖を一周しようとするのをおすすめしない理由は主に3つあります。

  1. 蓄積疲労による事故リスク: 100kmを超えてくると集中力が急激に低下します。路面のわずかな段差でバランスを崩したり、周囲の車への注意が散漫になったりして重大な事故につながりやすくなります。
  2. 身体への過度な負担: 無理なフォームで長距離を漕ぎ続けると、膝の腱や腰に強い炎症を起こし、数週間も痛みが引かなくなることがあります。
  3. 返却時間のプレッシャー: ビワイチをレンタサイクルで楽しむ場合、ショップの返却時間が定められています。例えば守山エリア(琵琶湖マリオットホテル内にあるジャイアントストアびわ湖守山など)で上質なロードバイクやクロスバイクを借りて走る際も、夕方の返却時刻が決まっています。時間に追われて焦ると、安全確認がおろそかになり、せっかくの景色を楽しむ余裕も失われてしまいます。

地元サイクリストがおすすめする「無理のないビワイチ計画」

琵琶湖の魅力を存分に味わい、安全に思い出を作るなら、段階的に距離を伸ばしていくのが一番の近道です。

  1. ステップ1:南湖一周(約50km)でスポーツバイクに慣れる
  2. ステップ2:北湖を巡る「1泊2日プラン(1日あたり50〜80km)」で観光やグルメを満喫する
  3. ステップ3:100km以上の走破経験を積んでから「1DAYビワイチ」へ挑戦する

マイバイクを遠方から輪行するのが大変な場合は、湖畔のレンタサイクルステーションを拠点にするのが便利です。しっかり整備されたスポーツバイクを選び、体格に合ったサドル高に調整してもらうだけでも、長距離を走ったときの疲労感は大きく変わります。
琵琶湖の素晴らしい景色はいつでも待っています。焦らずステップを踏んで、快適で安全なサイクルツーリズムを楽しんでください。